4/05/2009

I am a Japanese


**「やー、おめでとう!」と接客から声をかけられて「え?何がおめでとうなんでしたっけ?」と応える私に笑顔のキューバ人(だと思う)が云う。
「ほら、WBC。日本チームがすごかったねェ。とても良い試合を見せてもらって皆とても喜んでいるところさ。」
私の名札を見ると殆どの来客が「貴方は何人ですか」と問われる。
こちら米東海岸南部はニューヨーク近辺とは違い、日本人が少ないようで、私個人では沢山の日本人と出会っているのですが、他国の人達には少し珍しがられる日常です。戦時中に日本にマッカーサーなどと連れ立って行った事があるとその老人が戦争の悲惨さを言えずに、「私は最新興国日本という国にとても尊敬の念を持っています。」と戦後生まれの私に握手を求めたりする。
しかし、なかにはこの地に住むフィリピン人の一家族がつい最近にも「日本人は悪党だ」と私の側で耳打ちしたのが忘れられない。
我が孫達の学友からも仲間意識を壊された事もあるのが、人種問題というものがいかに歴史上に根強く実生活にも及んでいるのが伺えます。
私がこの地に住んで、自分を日本人と意識しないで生活する事は在米40年経てさえ無理な事であり、それは人間の本能的な感覚であると思っています。
将来は世界中の人間が何人種と言う枠は無く、何処が生地である事がその基点本能となるのでしょう。
今、私の孫達は「自分はアメリカ人」だと言います。
そしてこの地の各家庭では「アメリカ人だけれども、その基盤人種は、XXXX」と伝えていくのですがもう先何年かには実際のルーツなどごちゃごちゃになってしまうのです。
私の夫のルーツがダッチ、スコッチ、そして、、もう当に解りません。
こういうと、何故か私自身がはっきり云えるのが、誇らしい気がする「私は日本人」です。**


** 私は内心の怒りを抑え平然と会話を進めていた。いや、実際のところは私の言葉の端々にとげとげしい響きを放っているのは相手にも充分伝わっていたに違いない。
何十年もの知り合いである友人との電話での会話であった。
彼との会話の後味の悪さは何なのか、私には充分理解し得ない物なのだが、それは陰のエネルギーというものをいつも体に感じ取るところとなり、いつの日からか彼との連絡情報交換を避けるところとなりつつあったのだ。
根本的に思想感や生活感もにズレが生じているのをお互いに知りながらも、ただ古い義巳としての付き合いであり、この国を出生地としていない事と自国語で話せる気安さという助けだけが私達の双方に理解者としての仲間意識と勘違いさせていたのだと今私は感じていた。
『どうして同胞なのに、こんな簡単で心理的な事に共感をしてもらえないのだろう』と彼の私を攻める声質がその会話にはいつも聞いて取れた。
そして、それは私が和の精神を忘れ、この他国の人間の一人になったと彼の言葉の中には秘められていると少なからず思われた。**

私は日本人です。私は主婦です。しかも還暦を過ぎた今もって、子育て中です。私は雇用者です。私は芸術を愛し、美術を愛し、私は夢想家です。
私は時には哲学者にもなります。
時には嬉々として事をかたずけ、そして多くの難事に低迷落胆します。
極、それは極普通の一般人だと私は自分を思います。
私は日本人です。日本で生活した時期より倍以上に在米生活の方が永くなった今でも日本の言葉で物を考えそれを言葉で表します。
今もいつの時も、この世を離れるその時までも日本に懐かしい想いを馳せます。
アメリカ人の夫とアメリカ生まれの息子を愛し、その息子の3人の孫の母親代わりです。
僅かな雀の涙程の給金を貰っているパートではきっちりと仕事をこなします。
律儀だと、馬鹿正直だと言われ、時には仕事が体力的にはキツイと愚痴もこぼします。
しかし、今の現状を誰に何と云われても、それは変わりようの無い事実であり、私という人間の基盤なのです。
日本にいる私の義姉が「貴女は昔から何かとてもドライというか、西洋式というか二人の兄を兄弟にもったせいなのか男の子のような考え方をする人だと家族の皆が言っていたのだけれど、アメリカ人になった今を知ると、こちらにいる日本女性とは違って、それから比べると古い日本人のようなところがあるわね。」と言った事があります。
この多種民族の集まりである、しかもより保守的な米東海岸南部に住む日本人というのは私とその生活環境やその個々の体験が異なっていても、多かれ少なかれ皆が私と似たような極普通一般的な和の精神を忘れて生活をしているわけではないのだと私は思っています。
人を指して『私の意に反して、貴方はそういう人だったのですか』と簡単に判断するのはある意味で軽率極まりない事だと自分に戒めるようにせねばなりません。
どの人種と、どの会話に於いてもこの世界に陽エネルギーを発する自分でいたいものだと今改めて思う日本人の私です。