2/17/2008

天使の加護



「一昨日、ご婦人が貴女を訪ねてきましたよ。」と同僚が休み明け出勤の私に伝えてくれました。家族以外では勤め先に私を訪ねてくるという知り合いは、いないに等しい私にはそれが多分ドラッグストアにとっての常連客の一人であろう事は容易に察しがつきました。
午後にヴァレンタインデーの品定めに忙しい客がごったがえす棚を見直しているところへ、その方が現れました。
彼女は近くのシニア文化分譲ハウスに住む70代のお洒落なご婦人です。
年中をクルージングと海外旅行を楽しみ、教会夫人活動もしておられる、素敵なシルバー市民なのです。
病院通い疲れからか、生活拒否人生からか、苦虫を噛んだような顔つきの不機嫌極まる老人客が多い中、このご婦人はいつもシルバーの髪の波型も素敵なヘアスタイルで、アイライナーで目元はすっきり、赤い口紅がよく似合っていて、その日のドレスに合わせたアクセサリーも華やかで、老後を明るく有意義に暮しているであろう事が一目で見て取れる風貌がワンダフル・シルバーというに相応しいご婦人です。
「私が暫く体調を崩して寝込んでしまった後の来店時に、貴女が私の体調をとても心配してくれて、『でもね、私には天使が守ってくれていると思うのよ』、と言ったら。その時私が着けていたネックレスを貴女が『本当に。その天使も一緒ですものね。きっと早い回復がありますよう。』と言ってくれましたね。私は今はすっかり元気になりましたよ。それでね、この天使は今度は貴女と貴女の愛する人達を守ってくれるだろうと思って、貴女にこれを貰っていただきたくて来店したら貴女はお休みだったので、今日また来たのですよ。はい、これ。」と“天使”のネックレスを手渡してくれました。
「インターネットで買った安物だけれども、私はこの天使はとても加護深いと信じているの」と彼女。アメリカ女性にはこういう縁起を担いだり、人を思いやって天使のグッズを渡す人は多いわけで、それは多分に日本人が同じよう“お守り・お札”を貰い受けてくれるのと、その心情は同意のものなのだと私は思います。
勤務先では、もっぱら時間の都合や状況に於いてのみ、来客と会話するわけで、私自身の個人的な話は来客とする事はまずありません。彼女は私の名のみ(ネームタグから)知っているものの、個人的な事を会話する事はまずありませんので、私の事を薄幸な東洋人なのかもしれない、と思っての好意であるのかもしれません。しかし、それであっても、彼女の優しい心には充分の感謝を感じ、帰宅後は夫や家族にこの心優しいご婦人の好意を話したのでした。
その話しから、子供達が他人をも思いやる気持ち、自分の幸を他の人達とも分かち合うという行為を少しは理解してくれたら良いものです。
「僕なら、そんなに自分を守ってくれるラッキーチャームなら他人になんかあげずに自分でずっとキープしておくけれどなア」とは一番幼い11才の孫の弁。
君はまだまだ人生の修行がこれからなんだよねェ。
この子達が自分を愛し、人を愛し、動物や自然を愛し、平和共存生活を分かち合える事を願う気持ちを毎日の生活の中に芽生え、はぐくみ育てていって欲しいと“天使の加護”を願う私です。