11/02/2007

ハロウィン - 人間模様


割引は? その1


キューバ方面から熱帯性低気圧嵐が北上してきているらしく、今年のハロウィン日は雨天によりキャンセルされるかもしれないとの話もあり、ハロウィン当日まで子供達に配るキャンデーを買い渋っていた人々が、曇り空を気にしつつも山と積まれたキャンデー棚は「配る事ができなくても自分達家族の好きなキャンデーなら買っておいてもいいか」との思惑もあって混雑を極めていた。
ハロウィン当日は時間帯によって売り上げ量と、値を計りにかけてレジスターとマネージャーが値踏みしながら即計算で割引値を打ち出す方法が取られた。
私が勤めるそのドラッグストアは我が家から車で4分という大道りの真向かいにある為、多くは私のお隣り近所の人々であり、顔なじみ常連客である。
と、私のレジ前に立った金髪の中年女性が、ちらりと後列の人々を眺めた後に、「あ、貴女は私の息子Cとお友達のシャーンとデビットのグランマですよね。パーティの時にお見かけしましたよ。」と笑顔で言う。
「そうでしたか。またお目にかかれて幸いです。今日は子供達の楽しみなハロウィンですねェ」と私。
すると、当の女性はぐっと上半身をカウンターに近ずけ、声をひそめて言う。「貴女が値を決めているようですね。それにここでは貴女は割引が貰えるのでしょう?」
私は彼女の小声の意図が解からずに「ええ、一応。雇用人割引はありますよ」と応えた。
笑顔でレジを済ませ、「またお会いできるといいですね。息子さんにも楽しいハロウィンでありますよう」と言って次の接客にかかった。
彼女はその場から直ぐ立ち去ろうとせずに私が渡したレシートを眺めている。そして、彼女は小声で言い放った。「あら、これが私にくれた特別雇用人割引なのかしら?」
えっ?私は耳を疑った。次の接客の合間にも私の笑顔は崩れなかったけれども、片目と片耳はその場に立つ彼女を観察している自分があった。
そして彼女は私とマネージャーとで打ち出した特別価格を彼女に対する割引と勘違いした物か、またキャンデー棚に向かい2袋のキャンデーを抱えて私のレジ列後方にそ知らぬ顔で並んだのである。その時は1袋8ドルの大袋入りキャンデーが-これがかなりの大きな袋で-2袋目は1セントだったのです。

私にとっては初対面にも近い面識もないご近所さんが、あのように『割引しなさいよ。知り合いなんだから』と言ったことに多いに驚いた私である。
ケチとか、せこい人間に驚いたというのではなくて、自分の家族でさえ当然の権利と渡された私の家族割引を使いたがらないのに、その他人の不条理を平気で通す人間がいるのが考え難かった訳です。
私自身ではいつも他人には出来る限りのお手伝いは惜しまないつもりで、時には握り締めて意気揚々と買い物に来た子供が税金計算をしなかった為にお金が足りなくて泣きべそだったり、ミルクの金額にちょっぴりの差額が出て困った若いママなどには私のポケットマネーをそっと渡してあげるけれど、それは稀な事でもあり、しかもこの一辺ご近所さんはどちらかといえば所得が中級以上の家庭が多いはずで、どちらにせよ経営業務に於いて、個人がチマチマと売り上げをごまかすのは泥棒と同じ行為なのであり、一種の犯罪ではないのか。、
帰宅後その驚きを夫に話すと「そんなことで今更驚くなんて、君らしいよ。そんなのは私は犯罪の片棒を担ぐつもりはありませんと言ってやればいいんだよ」と笑われてしまったのだった。

割引は? その2


「その女性のお客様のカートの中身は全品一律1ドルとして下さい」と支店長。
その女性のレジを終えた後接客合間を見計らって支店長に質問をした。「あの49ドル99セントの子供縫いぐるみ衣装が1ドルとは税金を支払ってもマイナスになるのにあの8着ともが各1ドルとはどうしてですか。少なくとも税金分を頂けるような値にした方がよかったのでは?」
「いいんです。あの女性はあれらの衣装を学校に寄贈するらしいですし、もう3年も倉庫に眠っていたのですから、来年は新しい衣装をデスプレイしたいのでね」
しかし、私は納得がいかない。私はこの支店長以前のこれ等の在庫を山ととした前支店長に雇われた人間である。(後、前支店長は山と売れ残し在庫品やその他の理由で会社を解雇されたのです)
一昨年まで在庫品整理に終われたわけだが、今年には全品処理がなされ来年度からは現支店長の仕入れによる画期的なシステムになるとされている。
私は支店長交替時に10ヶ月勤務から遠ざかっているわけで、(孫娘のバトントワーリング大会出場の年中遠征旅行やらの世話もあって)再勤務に当たって、まず在庫処理が唯のゴミ処理として扱われた事で赤字経営を承諾しているのに驚いた私であった。
賞味期限3ヶ月内商品は全部廃棄されてしかるべきなのだが、賞味期限に関係の無い人形、アクセサリー、バック、ブラッシなどがトラック何杯も捨てられたのであった。私はこれ等の品を私設に寄与するとか、大特売で売らなかった事が不思議でならなかったのだ。多分会社の数々の不手際のしわ寄せをそこに集めて、処理せざる得なかった物なのかもしれない。
経営に関与していない一介の雇用人では想像だに出来ない理由があったものにちがいない。
しかし、今年からは吾が一店舗はノルマを達成したばかりか、地区に新しい風をもたらしたらしく、支店長の口ぶりでは古い物は捨てても良いものらしい。
地区長と支店長の間で処理法が話し合われていた物らしく、地区長秘書からの電話を受けた支店長の報告で「どうやら彼女(私)は極端な割引にも反対反応を示しました。』と伝えたのであった。
この時期に支店長各以上の会社管理職には年末ボーナスが年内売り上げノルマから出されるのである。その金額はかなりのものらしいが、以下雇用人には唯の大忙しの年末体力消耗勤務期なのである。
それで、私は管理職ノルマの為の販売ではなく、経営上売り上げとして販売力向上が我々雇用人の給料に向上をもたらすべく収入を入れたいと願ったわけだが、これは経営学無知人間の戯言なのかもしれませんが、薬剤師を除く店員の日給はあの縫いぐるみ衣装一着分といったところなのですから、この厳しさを何とかしたいと思っても悪くはありませんよね。

身体障害をもつ子供達

ちょっぴり哀しく、そして楽しくもあった。我が家のハロウィン。
孫娘のボーイフレンドのC17歳は母子家庭であり、母親が2つの仕事を持って忙しいので7つ年下の義弟Aをずっと世話をしている。
Aは足筋肉の障害を持って生まれ、今はやっと物につかまって歩行可能なのだが、その殆どを車椅子で生活をしている。生涯を持って生まれたため、Aの世界は普通の子供達とはまるで違い、頭脳に障害が有るわけではないのだが、母親と兄C以外の人間との会話はこの二人の指示のみに反応するといったぐあいで、通常会話はしない、いや、出来ない。(多分、脳の反応訓練はこの二人の声のみレジスターしているのだろう)
兄Cと普通に会話をしているのを見て「今日は何になるの?衣装は?」と同年学のデイビッドが話しかける。が、やはり反応が無く目はずっとテレビに向かっている。兄Cが「ほら、今日は何になるのさ。海賊だと応えなさい」と言うと「海賊になるのさ」と応える。
家の前で皆で写真を撮り、いよいよ近所廻りをしようという時、Aが自分で歩いて行きたいと言い張る。しかし外は暗い上に大勢の子供達が駆け回り、ゴルフカートも何台も仮装パーテーから繰り出した大人達が出回っている。Cは義弟Aの安全もそうだが、他の皆に迷惑をかけてはいけないとの気持ちから「駄目だ!車椅子に座りなさい。僕が押していくのでなければ、連れて行かないから!」と厳しく叱る声がした。「何だよ、バカ!皆あるいてるじゃないか。車椅子の海賊なんているものか!!」
結局渋々車椅子に乗って近所廻りをはじめたのだった。家に戻ってきたら直ぐ椅子から下りて自分で椅子を押しながら歩いてみると、案の定、椅子だけが前方に動いた為にAは車庫前でハンドルを持ったまま上半身は椅子に寄りかかり膝から臥してしまった。「何をやってるんだ。起きなさい!早く起きなさい!」とC。Aはちょっとふざけたんだよと言わんばかりに照れ笑いして起き上がり、ハンドルを放して兄のいる方にむかったのだが、足がもつれ、瞬時Cが両腕を伸ばして抱きとめたので頭から転倒する事を防ぐ事ができたのだが危機一髪であった。
同時に近所の父子連れが「トリックォァトーリート」とやって来た。この時やはり8~10才くらいだろう男の子が奇声を発した。体一杯で何やら楽しいことを表現し、私達に知らせようとしている。この子も身体障害者なのであった。
言葉にならない言葉に私と夫はそれぞれに「本当に、良いハロウィンだこと。」「君の仮装もなかなかのものだねェ。」と、この子供の奇声に合わせて会話をしたのである。この会話がかみ合った反応であったものかどうかなどとは誰も笑いはしない。お父さんも明るい顔で「本当だ。すごいキャンデーをもらったねェ」と一緒にひと時の不思議な会話を交わしたのであった。

皆が去ったあと、夫と二人「我が家の子供達は健体者であることを感謝せねばならないねェ。障害を持つ子供達との生活はさぞかし障害者とそれを世話する家族共に並大抵な努力が必要なのだろうし、その試練を思うと並大抵なものでは済まされないのだろう。それらの人達を思うと本当に辛い事だ。」と涙したのであった。

今朝孫娘の話ではニューヨークに住む義弟Aの父親が癌の緊急手術をするのに立会い面会に兄CがAを連れてニューヨークの病院に向かったそうだ。(Cはこの身体障害の義弟を連れていつもこのような訪問旅をするのだ。)これまた何だか哀しい。