10/25/2007

軽くお喋り14 -水



もう少しでハリケーンシーズン終了となる。(6月~11月がシーズン)今年2007年は日本では台風9号が多くの被害を人々に与え、アジア各国でも水害が多発する中、この州では大きなハリケーンの襲来に見舞われる事無く行過ぎていこうとしている。
この亜熱帯性気候のフロリダ州では年中大量の飲み水の販売が成されている訳だが、ハリケーン時の給水販売には長蛇の列がなされ、山のボトル水もあっという間に売り切れるのである。
しかし今年は非常に備えての山積みのミネラルウォーターが倉庫の中で売れ残り、クリスマスの飾りつけなどの商品を置く場所に窮した勤務先のドラッグストアでは、急遽その販売対策を考えたセールが打ち出されたわけで、今日も転倒にはボトル水が山と積まれており、あと一週間程に来るハロウィンの飾りつけと、これ又山と積まれたキャンデー袋と背比べの態である。
その天井と窓ガラスには早、クリスマスの飾りつけもなされ、『水、スケルトン、キャンデー袋、雪だるま&天使』といつもの何やらごちゃ混ぜシーズン飾りが笑える。

私の前に立ったご夫人はそのカートの中に24本入り水ボトルパックを8個も積んで来られた。つまり192本ものボトルである。
「何か学校の行事、催し物にお使いでしょうか?」と私。時に学校の行事などで使う品には地元教育協力として支店長が特別値を提供する事もあるのだ。
「いえね。ハロウィンのトリートに使うんですよ。汗をかきかき仮装で走り回る子供達にキャンデーばかりをもらうより、水を上げる事ににして今年で3年目なんです。子供達ばかりか、それに付き添って歩く親御さん達にも評判が良くて、『本当に助かります』とお礼されたり、『まだ、水が残っていたらもう一度貰いたいなァ』なんて戻ってきたりする子供がいたりして、良いハロウィンとなるのですよ。」
なるほど、仮想で歩き回り大汗の上にキャンデーを食べてハイテンションになっている子供達にはこのトリートは嬉しいものに違いない。
「良いハロウィンをお迎えください。」と言って代金を受け取った私もにわかに体が水を欲しているのが感じられ、側にスタンドバイしてあるボトル水をごくりと飲んだのであった。

アメリカ人のコカコーラやペプシなどのソフトドリンク消費率はかなり高いものである。我が家にしても例外ではなく、孫達3人と息子が年間に飲む飲料費は、そもそも高い家計エンゲル係数を更に高くしている。
火山が多く、緑の谷間から流れる自然地下水を飲む事が出来た日本での幼少時代とは違い、異なるあちらこちらの州各地を回っての在米40年間のうちに化学処理を施してある各地での水道水を飲む事が嫌いになってしまっていた。
ある時期からは甘いソフトドリンクも体が欲する事が少なくなってきて、加齢と共に自分の体内の水が日に日に乾いていく、いわゆる老化現象が現れるにあたって、にわかに『人間の体の殆どが水分であるのだから、水の補給を充分にする事』といった当たり前な教訓のようなものを建前に水ボトルの購入する私がいた。
ボトルを側にいつもおいて、夜は夜で、べっとの枕元に置き、給水を心がけたのである。
ところが、ところがである。確かに潤いのある肌つくりには一役かったものであるならば、さぞかし『水もしたたるいい女』になったはず、、と思うところ、そう事が単純簡単極まれば今頃の私は、そのしたたる水しぶきで虹の後光をしょって歩いていても可笑しくは無いはずだ。が、そんな巧い話があるわきゃァない。
いつからか、夜中にはゼイゼイ、ゲホゲホと咳に咽んで熟睡は保たれず、短時間の-仮眠・ゼイ・ゲホ・水・仮眠-といった事を夜長繰り返す事で体に不調をきたしてきた。日中も更年期熱の為かちょっとした動きでも大汗をかく始末。
確かに『水のしたたる女』になったのかもしれないが、それがツバと汗というのでは、いい女どころか、単に汚いオババに成り果てた気分に私は多いに落ち込んでしまった。
滅多に医者通いを善しとしない私であったのだが、夜の仮眠・ゼイ・ゲホ・水・仮眠が日中には接客・ゼイ・ゲホ・水・勤務となっては何とも不都合になってしまうのを恐れ、医者の言うとおりの治療法やらテストやらを受ける羽目となってしまった。
レントゲンでは右肺に水が溜まっているという。しかしそれが何が原因なのかを突き止めるべく更なるテストが行われたのだが、CTスキャンでも悪い物を発見する事もなく、殆どのテストでは胃酸過多アレルギー体質と、少々(イヤ、だいぶかもしれない)の体重オーバーを除けば、健康体であるらしい。
或る日、いつものボトル水の買い置きを忘れ、已む無くボトル無しでベットについた日が2,3日続いた時、いつものゼイゼイで起きる回数が少なく済んだようなのに気がついた。
夜中に水を飲まない翌朝は体のむくみも少なく、いつもの大顔がちょっぴり、輪郭がはっきりしたひきしまっているかに見える。(あくまでもこれは私の目での感じ方なので、大顔が小さくなったわけはないのである。)
そのことを医者に定期診察に行って告げると、「あぁ、それはですね、貴女は胃酸過多なので、横になっていると胃酸がに体を逆流してくる為に体内に納められた水が胃酸と一緒に胸中央に上がってきて水が肺に流れ込むのかもしれませんね。大体右下で寝ている時がそれが起きるのでしょうね」とのこと。
なんだ。もっと早くにそういってくれればいいのに。「右肺に曇りアリ」なんて脅かしてくれてぇ。「CTスキャンやら、他色々なテストも何事も無い事が証明されたわけだから、良かったでしょう」と医者は笑顔で言った。
う~ん、これって良かったのかな。医療保険とまたそれだけで賄えなかった医療費がど~んとかかったのに、、、。
飲料水の量を減らす事で咳きはかなり納まったが、今度はアレルギー体質性のコホン・ゴホンがあるので吸入薬を貰っている。
これで、私は永遠に「水もしたたる、いい女」とは無縁になってしまった。

水は少なくても、あまっても、困るのものですね。