6/09/2007

軽くお喋り 12 - お久しぶり、またね


久しぶりにSさんが来店した。Sさんは以前一緒に夜勤をしていた2児の母Dさんのご主人である。そのDさんという仲間は最後の最後まで明るい笑顔を絶やさずに癌と戦って逝ってしまった、私にとっては何時までも心の奥に思い出を残していった人なのです。
「子供達は元気にしていますよ。私達もなるべく妻のいた頃と同じに明るく生活していくように勤めています。とにかく妻は苦しい時も悲しい時さえ私達に笑顔を絶やさないでいてくれましたからね。」とSさんは笑顔を見せて云う。
小旅行をするのに必要な小物を買いにきたそうな。
「楽しい旅行をなさってね。またの日まで、さようなら」と手をふって見送ったSさんの後から笑顔のDさんが私に手を振っているような気がした。

久しぶりにI君が来店した。I君は4年前にカメラ部の店員をしていて、当時ティーンの彼の勤務態度はどちらかと言えばあまり高く評価されてはいなかったようでした。
彼にしては東洋人と一緒に働くのは初めてとの事と、私の年令不肖なところもあってか私を仲間として受け入れてくれた風であったが、特別親しく会話をしたことはなかったのです。と、或る日、突然に4人もの解雇者が出たその一人が彼でした。解雇理由は年少者飲酒取締り違法という事でした。当時若い勤務仲間が集まってゲームをしたり、パーテーに出かけたりしていたそうで、勤務先店飲酒部から年少者であるのに仲間に飲酒物を販売させてロッカーに隠していたのをみつけられてしまったのでした。
久しぶりに見るI君は大人になって話し振りもしっかりしているのにちょっと驚いた私でした。
「ロングタイム・ノーシー!(久しぶり!)ハウ・ハヴ・ユー・ビーン?(元気?)」との私に応えた彼は「ドゥーイング・ジャスト・ファイン!(とっても元気だよ!)」とちょっと胸をそらして笑ってみせ、そして続けて云うには、「今はマイアミ市でポリスマンをしているんです」と。えっ?ポリス?年少者取り締まりに関わった君が、今は年少者取締りをする側なのね、今度は。へェ~~。
多分過去の解雇事件が彼に良い体験となったのやもしれない。
彼の顔はポリスである事の誇らしげな輝きに以前のパンク(小僧)時代の風貌を打ち消してしまっているのを見た私はそうと確信したのでした。
若いときの失敗を将来の成功に活かした良い例を見た思いです。
「ハヴ・ア・グレート・デー!(じゃあ良いお暮らし)テーク・ケア(身体には気をつけて)」「ユー・ツゥー!(貴女も)シー・ユー!(またね。)」

久しぶりにHさんが来店した。彼女は私が日中勤務になる為に新しく夜勤に雇われた3人の内のひとりで私がトレーニングした一人でした。勤め始めて2ヶ月程で彼女は夜勤の仕事量の多さと、難しい人間関係に嫌気がさしたという事で退社、今は最寄の総合病院の会計の仕事についているそうです。
「私は貴女の様にはやって行く自信もなかったし、何せあんなわずかな給金でマネージャー達の仕事を廻されるのには我慢がならなかったのよ。仕事は次から次に増えていく一方で、神経は磨り減る一方なんて、割りに合わない仕事だと気がついたのですぐ辞めることにしたわけ。ま、今の仕事もおいおい不満が出てきてはいるんだけれど、ここよりはマシかなって思うんでね。」と彼女。
良かったじゃない、ここでの辛い2ヶ月が貴女を一回り大きくして、ちょっとの不満には巧く対応出来る貴女が今あるのだから。
私も今までの人生で数多くの仕事についてきて、今はまたその原点に立っている思いなのですよ。
人間はどのような立場でもその体験を次の生活に活かす事ができますものね。
「ハッピー・ツゥ・シーユー!ホープ・ツゥ・シーユー・アゲイン(貴女にお会いできて本当に良かった。またね。)」